投稿者: kozakai

  • 応用問題ができない本当の理由

    応用問題を解いたあと、

    • 答えが合わない
    • どこで間違えたのか分からない
    • 解説を見ても「自分の考え方と何が違うのか」が見えない

    という経験をしたことがある人は多いと思います。

    このとき多くの場合、
    原因は計算力や公式の知識ではありません。

    考え方の途中を、自分で確認できていない
    それが、いちばん大きな原因です。

    応用問題は、
    いくつかの基礎を組み合わせ、
    順番に使っていくことで解く問題です。

    だからこそ、

    自分がどんな順序で考えたのかを
    振り返れる状態で解くこと

    が、とても重要になります。

    この章では、
    「説明する」という視点から、
    考え方の順番を確認する方法
    を整理していきます。


    応用問題とは?

    そもそも応用問題とは、
    いくつかの基礎が組み合わさってできた問題です。

    だから当然、

    応用問題は、
    複数の手順を経て解く必要がある

    という性質を持っています。

    逆に言えば、
    一つの手順で答えが出る問題は、
    ほとんどが基礎問題です。


    応用問題が苦手な人の共通点

    応用問題ができない人には、
    ある共通点があります。

    それは、

    とにかく答えが出ればいい
    と思ってしまっていることです。

    この考え方自体が悪いわけではありません。
    ただ、この意識が強いと、

    • 途中の過程を軽く見てしまう
    • 手順を追う練習をしなくなる
    • 無意識に「面倒な考え方」を避ける

    ということが起きます。

    結果として、

    複数の手順を経て答えを出す力が、
    なかなか育たない

    という状態になります。


    「過程を大切にする」は、特別なことではない

    実は、
    答えにたどり着くまでの過程を大切にする
    という考え方は、
    小学校の算数からずっとやってきたことです。

    たとえば、

    • すぐに答えを言ってしまう子に対して
    • 小学校の先生が
      「どうやって考えたの?」
      「順番に説明してみよう」
      と聞く場面があります。

    これは、

    答えよりも、
    考え方の手順を大切にする練習

    をしているのです。

    つまり、
    応用問題で必要な力は、
    まったく新しい能力ではありません。


    差がついたと感じたら、取り戻せばいい

    もし今、

    • 応用問題が苦手
    • 手順を追うのがつらい

    と感じているなら、

    小学校からやってきた練習を、
    もう一度やり直せばいい

    だけです。

    「才能がない」わけでも、
    「今さら無理」なわけでもありません。


    手順を説明できるようにする練習

    よく、

    「人に説明できるように勉強するといい」

    と言われます。
    確かにこれは正しいです。

    これを小学校の算数でやるのならともかく、
    いきなり中学校の数学でやろうとすると、
    かなりハードルが高いのも事実です。

    そこで、
    もっと取り組みやすい方法があります。


    模範解答と「同じ手順」で解く

    おすすめなのは、

    模範解答と同じ手順で、答えを作る練習

    です。

    ここでいう「同じ手順」とは、

    • 同じ考え方
    • 同じ流れ

    という意味だけでなく、

    同じだけ途中計算を書く

    ということです。

    本当は、

    • 説明文
    • 言葉での整理

    まで含めた解答を作れれば理想ですが、
    それは少し難易度が高いです。

    まずは、

    模範解答と同じ量の途中計算を書く

    だけで十分です。


    それでも難しければ、もっと手前から

    それでも大変だと感じる場合は、

    • 応用問題ではなく
    • 教科書の基本問題を使って

    例題と同じだけ途中計算を書く練習

    から始めるといいです。

    「解ける問題」で、
    「同じ手順をなぞる練習」をする。

    これが、
    一番確実なやり方です。


    途中計算を書く本当の意味

    途中計算を書くと、

    • 計算ミスを防ぐため

    と言われることが多いかもしれません。

    もちろん、それも間違いではありません。

    ただ、私が一番大切だと思っているのは、

    自分が、ちゃんと手順を守って考えているかを
    確認するため

    という意味です。

    途中計算は、
    考え方の記録です。

    それが残っていれば、
    どこでズレたのかも、
    自分で見つけられるようになります。


    まとめ

    ここまで見てきたように、
    応用問題が解けるかどうかは、

    • 特別なひらめきがあるか
    • 計算が速いか

    では決まりません。

    手順を大切にして、
    1つずつ進めているかどうか

    ここに差があります。

    途中計算を書き、
    模範解答と同じ手順で考える練習は、
    自分の思考を点検するためのものです。

    ただ、
    頭の中だけで手順を管理し続けるのは、
    どうしても負担が大きくなります。

    次の章では、

    • 図を描く
    • 実際にいくつか試してみる
    • 具体的な形にして考える

    といった、
    考えること自体を楽にする方法を紹介します。

    「正しい順番で考える」ことを、
    無理なく続けるための道具について見ていきましょう。

  • 問題の解き方は、どこで決まるのか

    「考える」とは何をしている状態なのか

    前回の記事で応用問題が解けない原因は、
    考え方以前に、使える知識が足りていないことがある
    ということを書きました。

    では、必要な知識を身に付けていたら、どうでしょう。
    それでも応用問題になると、
    「何をすればいいのかわからない」
    「どこから手をつけていいのかわからない」
    と感じることがあります。

    このとき、多くの人は
    「ひらめきが足りない」
    「自分は応用が苦手だ」
    と思ってしまいます。

    ですが、実際には
    考え始める前の準備が足りていない
    ということがほとんどです。


    「考える」とは、どういう状態のことか

    問題を解くとき、
    「考える」という言葉はよく使われます。

    では、
    考えている状態とは、
    具体的にどんな状態でしょうか。

    それは、

    • 何を求める問題なのか
    • すでに何が分かっているのか
    • どんな条件がついているのか

    これらが頭の中で整理されている状態です。

    逆に言えば、
    これが整理されていないと、
    何をすればいいのかは見えてきません。


    問題を解く前に、まずやること

    問題の解き方を考えるというと、
    すぐに公式を思い出そうとする人が多いですが、
    最初にやるべきことは別にあります。

    それは、次の3つです。

    1. 何を求める問題なのか
    2. すでに分かっていることは何か
    3. どんな条件があるのか

    この3つを整理してから、
    初めて「どうやって解くか」が見えてきます。


    具体例で考えてみる

    次のような問題を考えてみます。

    点Pを通って、
    平行四辺形ABCDの面積を2等分する直線の式を求めよ。
    (点P、A、B、C、D の座標はわかっているものとする)

    少し難しそうに見えるかもしれませんが、
    やることは同じです。


    ① 何を求める問題か

    この問題で求めるものは、

    直線の式

    です。

    中学校の数学で、
    直線の式といえば 一次関数 です。

    一次関数は、y=ax+by = ax + bの形で表され、
    この問題では aと b を求めること が目的になります。


    ② 一次関数の式を求めるには何が必要か

    一次関数の式を求めるには、

    • 通る 2点 が分かっている
    • または、傾きと通る 1点 が分かっている

    といった情報が必要です。

    これは、教科書の例題レベルの内容です。

    つまりこの時点で、

    直線が通る点を2つ見つけられれば、
    式は求められそうだ

    という見通しが立ちます。


    ③ すでに分かっていること

    問題文から、次のことは分かっています。

    • 点Pの座標
    • 点Pは求める直線上にある
    • 平行四辺形ABCDの各点の座標

    点Pは求める直線上にあることがわかっているので、
    あとは平行四辺形ABCDの各点の座標から、
    求める直線が通るもう1点を求めればいいことがわかります。


    ④ 条件は何か

    次に、条件を整理します。

    この問題の条件は、

    点Pを通る直線が、
    平行四辺形の面積を2等分する

    という点です。

    ここが、この問題で
    一番大切な条件です。


    ⑤ 条件から分かること

    「平行四辺形の面積を2等分する直線」と聞いて、
    すぐに分かる人は多くありません。

    ですが、「平行四辺形の面積を2等分する線を描いてみよう」と言うと、結構かける生徒が多いです。

    まずはこれです。
    平行四辺形の対角線は、平行四辺形の面積を2等分にします。

    他に、このような直線も描けます。

    これらの共通点は何か、1つの図にまとめてみるとわかります。

    ここまでやると、
    平行四辺形の面積を2等分する直線は、対角線の交点を通る
    ということがわかります。

    すると、
    次にやることがかなりはっきりします。


    ⑥ やるべきことが見えてくる

    ここまで整理すると、
    次のことが分かります。

    • 求める直線は点Pを通る
    • さらに平行四辺形の対角線の交点を通る

    つまり、

    点Pと、
    対角線の交点を通る一次関数の式を求めればよい

    という方針が立ちます。

    平行四辺形の対角線は、
    中点で交わる ので、

    • 対角線ACの中点を求める
    • その点と点Pを使って、一次関数の式を求める

    という流れになります。


    この問題で難しいのはどこか

    この問題の中で、

    • 一次関数の求め方
    • 中点の求め方

    は、教科書レベルの内容です。

    少し考えにくいのは、

    「平行四辺形の面積を2等分する直線は、
    対角線の交点を通る」

    という点です。

    これは少し発展的ですが、
    図を描いて何本か線を引いてみると、
    気づくこともあります。

    入試対策用の問題集では、
    よく紹介されている考え方です。

    もしここだけが分からなかったのなら、
    それほど心配する必要はありません。


    伝えたいことはこれだけ

    この問題で大切なのは、
    難しい計算をすることではありません。

    • 何を求めるのか
    • 何が分かっているのか
    • どんな条件があるのか

    これを整理することで、

    次に何をすればいいかが見えてくる

    ということです。

    これが、
    「考えている状態」です。


    次に必要になる力

    応用問題では、
    複数の基礎知識を
    順番に、1つずつ使っていく必要があります。

    その順番が合っているかを確かめる方法や、
    考える負担を軽くする工夫については、
    次の記事で説明します。

  • 知識がないと「考える」ことはできない理由

    応用問題で手が止まる本当の原因

    応用問題が解けないとき、
    「考え方が分かっていないからだ」と言われることがあります。

    もちろん、考え方は大切です。
    しかし、実際の指導現場では、
    考えようとしても、そもそも使える知識が出てこない
    という状態に陥っている生徒を多く見かけます。


    「考えられない」の正体は、材料不足

    次の2つの問題を比べてみてください。

    関数 y=ax2y = ax^2(aは定数)で、
    xの値が2から5まで増加するときの ??? が3であるとき、
    aの値を求めよ。

    この問題は、解くことができません。
    理由は単純で、「???」が何を意味しているのか分からないからです。

    一方、次のように書かれていればどうでしょうか。

    関数 y=ax2y = ax^2(aは定数)で、
    xの値が2から5まで増加するときの 変化の割合 が3であるとき、
    aの値を求めよ。

    こちらなら、多くの人が解き始めることができます。


    知識がないと、問題は「???」に見える

    2つの問題の違いは、
    計算力や発想力ではありません。

    違いはただ一つ、
    「変化の割合とは何か」を知っているかどうかです。

    変化の割合という言葉の意味を理解していれば、

    • x=2x = 2x=5x = 5 を代入して yy の値を求める
    • 変化の割合の式を立てる

    といった流れを自然に思い浮かべることができます。

    しかし、この知識があいまいな人にとっては、
    後者の問題でさえ、前者と同じように
    **「何をすればいいのか分からない問題」**に見えてしまいます。


    知識は「覚えている」だけでは足りない

    たとえば、問題に
    「次の方程式を解きなさい」
    と書かれていれば、多くの人は

    「方程式を解くぞ」

    と頭の準備ができ、
    方程式を解くための知識や手順を取り出すことができます。

    しかし、応用問題ではそうはいきません。


    先ほどの変化の割合の問題では、
    変化の割合を aaを用いて表し、
    その結果としてできる方程式を解いて
    aa の値を求めることになります。

    このとき、問題文には
    「方程式を解きなさい」とは書かれていません。

    それでも、

    • これは方程式を使う場面だ
    • 式を整理すれば、方程式ができる

    と気づけるかどうかで、
    解けるかどうかが大きく分かれます。


    方程式は「方程式の問題」だけのものではない

    方程式は、

    • 関数の問題
    • 図形に関する問題

    など、さまざまな場面で使われます。

    つまり、方程式は
    「方程式と書いてあるときだけ使う知識」ではありません。

    いつでも、どんな場面でも使える状態にまで
    練習しておかないと、
    応用問題の中ではうまく使えないのです。


    ストレートが来るとわかれば打ちやすい

    この違いは、スポーツに例えると分かりやすいかもしれません。

    例えば野球でピッチャーが
    「次はストレートを投げる」と分かっていれば、
    球が多少速くても打てる可能性は高くなります。

    しかし実際の試合では、

    • 何を投げてくるか分からない
    • どのタイミングで来るかも分からない

    という状況の中で、対応しなければなりません。

    数学の応用問題も同じで、
    「次はこれを使え」と教えてもらえない場面で、
    使える知識を取り出す必要があります。

    そのためには、
    基本的な知識を、迷わず使える状態にまで
    繰り返し練習しておくことが欠かせません。


    知識は「試してみる力」を支える

    前の記事では、
    応用問題を解くために必要な力として
    **「試行力(試してみる力)」**について紹介しました。

    しかし、この試行力も、
    使える知識があって初めて発揮されるものです。

    • 知識が増える
    • 試せる手段が増える
    • 試し続けられる
    • 解ける経験が増える

    このような良いスパイラルの中で、
    応用問題を解く力は育っていきます。


    まとめ

    応用問題が解けない原因は、
    考え方以前に、使える知識が足りていないことがあります。

    • 知識がないと、問題は「???」に見える
    • 知識は「覚える」だけでなく、「使える」状態にする必要がある
    • 基本の反復練習は、試してみる勇気と自信につながる

    考える力は、
    確かな知識の上にしか積み上がりません。

    このサイトでは、
    応用問題に必要な考え方と、その土台となる知識を、
    一つずつ整理していきます。


    次に読みたい方へ

    次の記事では、
    「条件を整理できないと、なぜ公式を間違えて使ってしまうのか」
    について考えていきます。

  • わからなくても手を止めない──応用問題を解くための「試行力」

    応用問題は「ひらめき」が必要だと思っていませんか

    応用問題が解けない理由として、
    「発想力がない」「センスがない」と思ってしまう人は少なくありません。

    でも、実際に応用問題が解ける生徒の多くは、最初から正解の解き方を思いついているわけではありません。
    むしろ、

    • よく分からない状態でも
    • とりあえず手を動かし
    • 知っていることを一つずつ試している

    という姿勢で問題に向き合っています。

    応用問題を解く力は、特別なひらめきではなく、**試し続ける力(試行力)**によって支えられています。


    解き方は「無から有を生み出す」ものではない

    応用問題の解き方は、何もないところから突然アイデアを生み出す作業ではありません。
    実際には、

    • これまでに習ったこと
    • どこかで見た考え方
    • 使えるかもしれない公式や整理の仕方

    を、一つずつ順番に当てはめていく作業です。

    うまくいかない方法を一度試すことも、間違った方向に進んでみることも、応用問題では当たり前に起こります。
    大切なのは「最初から正解を当てにいくこと」ではなく、知っている手段を順に試していくことです。


    手が止まってしまう生徒に起きていること

    応用問題が解けない生徒を見ていると、次のような状態になっていることがよくあります。

    • 解き方が思いつかないと、何も書かずに止まってしまう
    • 正解のルートが分からないと、そこで考えるのをやめてしまう
    • 「合っているかどうか分からない」ことを極端に嫌がる

    これは能力が足りないからではありません。
    「試してみる」という発想が弱いだけの場合が多いのです。

    応用問題では、途中で失敗することや、一度書いた式が使えなくなることも含めて、すべてが「考えている途中」です。
    まずは「止まらない」ことが大切です。


    試し続けられるかどうかは「自信」で決まる

    わからない問題に対して、何度も試してみることができるかどうかは、気合いや性格の問題ではありません。
    大きく影響しているのは、自信があるかどうかです。

    この自信は、根拠のないものではありません。多くの場合、

    「あれだけ練習したんだから、解けないわけがない」

    という、練習量に裏づけられた自信です。


    知識があいまいだと、試すことすらできない

    試してみるためには、そもそも「使える手法」を持っていなければいけません。

    たとえば、九九があいまいな状態では、筆算のかけ算を安心して使うことはできません。
    数学でも同じで、

    • 基礎的な計算
    • 教科書に例題として載っている手法

    これらが確かなものになっていないと、「とりあえずやってみる」こと自体が難しくなります。

    逆に言えば、基本的な手法を何度も練習して身につけておくことで、試してみる勇気が生まれます。


    知識と経験が、自信を育てる

    自分が使える手法が、

    • はっきり分かっていて
    • 数も十分にあり
    • いつでも使える状態

    になっていると、それがそのまま自信につながります。

    さらに、応用問題を解いた経験が積み重なると、「今回も何とかなるはずだ」という感覚が生まれます。

    • 知識が増える
    • 試せる手段が増える
    • 試し続けられる
    • 解ける経験が増える

    このような良いスパイラルが回り始めます。


    試行力を高めるためにできること

    応用問題に取り組むときは、次のような行動を意識してみてください。

    • 仮の数を入れて考えてみる
    • 図や表にして整理してみる
    • 習った公式や考え方を一つずつ当てはめてみる
    • うまくいかなければ、別の方法を試す

    大切なのは、「これで合っているかどうか」よりも、**「今、自分は何を試しているか」**を意識することです。
    試した回数が増えるほど、応用問題に対する抵抗感は確実に下がっていきます。


    試行力は、学年を超えて使える力です

    この「試してみる力」は、中学1年だけのものではありません。
    中学2年、中学3年と学年が上がるにつれて、使える知識や道具は増えていきます。

    知識が増えるということは、試せる手段が増えるということです。
    応用問題を解く力は、知識の量と試行力が組み合わさることで伸びていきます。


    まとめ

    応用問題を解くために必要なのは、特別なひらめきや才能ではありません。

    • わからなくても手を止めないこと
    • 知っていることを一つずつ試すこと
    • 失敗も含めて「考えている途中」だと受け止めること
    • 基本の手法を反復し、使える状態にしておくこと

    この土台があると、試してみる勇気が出てきます。
    その結果、応用問題が解ける経験が増え、さらに自信がつきます。

    このサイトでは、こうした「考え方の土台」を、具体例とともに整理していきます。


    次に読みたい方へ(任意)

    次の記事では、「指示を正しく受け取れないと、なぜ数学が崩れるのか」について扱います。