知識がないと「考える」ことはできない理由

応用問題で手が止まる本当の原因

応用問題が解けないとき、
「考え方が分かっていないからだ」と言われることがあります。

もちろん、考え方は大切です。
しかし、実際の指導現場では、
考えようとしても、そもそも使える知識が出てこない
という状態に陥っている生徒を多く見かけます。


「考えられない」の正体は、材料不足

次の2つの問題を比べてみてください。

関数 y=ax2y = ax^2(aは定数)で、
xの値が2から5まで増加するときの ??? が3であるとき、
aの値を求めよ。

この問題は、解くことができません。
理由は単純で、「???」が何を意味しているのか分からないからです。

一方、次のように書かれていればどうでしょうか。

関数 y=ax2y = ax^2(aは定数)で、
xの値が2から5まで増加するときの 変化の割合 が3であるとき、
aの値を求めよ。

こちらなら、多くの人が解き始めることができます。


知識がないと、問題は「???」に見える

2つの問題の違いは、
計算力や発想力ではありません。

違いはただ一つ、
「変化の割合とは何か」を知っているかどうかです。

変化の割合という言葉の意味を理解していれば、

  • x=2x = 2x=5x = 5 を代入して yy の値を求める
  • 変化の割合の式を立てる

といった流れを自然に思い浮かべることができます。

しかし、この知識があいまいな人にとっては、
後者の問題でさえ、前者と同じように
**「何をすればいいのか分からない問題」**に見えてしまいます。


知識は「覚えている」だけでは足りない

たとえば、問題に
「次の方程式を解きなさい」
と書かれていれば、多くの人は

「方程式を解くぞ」

と頭の準備ができ、
方程式を解くための知識や手順を取り出すことができます。

しかし、応用問題ではそうはいきません。


先ほどの変化の割合の問題では、
変化の割合を aaを用いて表し、
その結果としてできる方程式を解いて
aa の値を求めることになります。

このとき、問題文には
「方程式を解きなさい」とは書かれていません。

それでも、

  • これは方程式を使う場面だ
  • 式を整理すれば、方程式ができる

と気づけるかどうかで、
解けるかどうかが大きく分かれます。


方程式は「方程式の問題」だけのものではない

方程式は、

  • 関数の問題
  • 図形に関する問題

など、さまざまな場面で使われます。

つまり、方程式は
「方程式と書いてあるときだけ使う知識」ではありません。

いつでも、どんな場面でも使える状態にまで
練習しておかないと、
応用問題の中ではうまく使えないのです。


ストレートが来るとわかれば打ちやすい

この違いは、スポーツに例えると分かりやすいかもしれません。

例えば野球でピッチャーが
「次はストレートを投げる」と分かっていれば、
球が多少速くても打てる可能性は高くなります。

しかし実際の試合では、

  • 何を投げてくるか分からない
  • どのタイミングで来るかも分からない

という状況の中で、対応しなければなりません。

数学の応用問題も同じで、
「次はこれを使え」と教えてもらえない場面で、
使える知識を取り出す必要があります。

そのためには、
基本的な知識を、迷わず使える状態にまで
繰り返し練習しておくことが欠かせません。


知識は「試してみる力」を支える

前の記事では、
応用問題を解くために必要な力として
**「試行力(試してみる力)」**について紹介しました。

しかし、この試行力も、
使える知識があって初めて発揮されるものです。

  • 知識が増える
  • 試せる手段が増える
  • 試し続けられる
  • 解ける経験が増える

このような良いスパイラルの中で、
応用問題を解く力は育っていきます。


まとめ

応用問題が解けない原因は、
考え方以前に、使える知識が足りていないことがあります。

  • 知識がないと、問題は「???」に見える
  • 知識は「覚える」だけでなく、「使える」状態にする必要がある
  • 基本の反復練習は、試してみる勇気と自信につながる

考える力は、
確かな知識の上にしか積み上がりません。

このサイトでは、
応用問題に必要な考え方と、その土台となる知識を、
一つずつ整理していきます。


次に読みたい方へ

次の記事では、
「条件を整理できないと、なぜ公式を間違えて使ってしまうのか」
について考えていきます。

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