「考える」とは何をしている状態なのか
前回の記事で応用問題が解けない原因は、
考え方以前に、使える知識が足りていないことがある
ということを書きました。
では、必要な知識を身に付けていたら、どうでしょう。
それでも応用問題になると、
「何をすればいいのかわからない」
「どこから手をつけていいのかわからない」
と感じることがあります。
このとき、多くの人は
「ひらめきが足りない」
「自分は応用が苦手だ」
と思ってしまいます。
ですが、実際には
考え始める前の準備が足りていない
ということがほとんどです。
「考える」とは、どういう状態のことか
問題を解くとき、
「考える」という言葉はよく使われます。
では、
考えている状態とは、
具体的にどんな状態でしょうか。
それは、
- 何を求める問題なのか
- すでに何が分かっているのか
- どんな条件がついているのか
これらが頭の中で整理されている状態です。
逆に言えば、
これが整理されていないと、
何をすればいいのかは見えてきません。
問題を解く前に、まずやること
問題の解き方を考えるというと、
すぐに公式を思い出そうとする人が多いですが、
最初にやるべきことは別にあります。
それは、次の3つです。
- 何を求める問題なのか
- すでに分かっていることは何か
- どんな条件があるのか
この3つを整理してから、
初めて「どうやって解くか」が見えてきます。
具体例で考えてみる
次のような問題を考えてみます。

点Pを通って、
平行四辺形ABCDの面積を2等分する直線の式を求めよ。
(点P、A、B、C、D の座標はわかっているものとする)
少し難しそうに見えるかもしれませんが、
やることは同じです。
① 何を求める問題か
この問題で求めるものは、
直線の式
です。
中学校の数学で、
直線の式といえば 一次関数 です。
一次関数は、の形で表され、
この問題では aと b を求めること が目的になります。
② 一次関数の式を求めるには何が必要か
一次関数の式を求めるには、
- 通る 2点 が分かっている
- または、傾きと通る 1点 が分かっている
といった情報が必要です。
これは、教科書の例題レベルの内容です。
つまりこの時点で、
直線が通る点を2つ見つけられれば、
式は求められそうだ
という見通しが立ちます。
③ すでに分かっていること
問題文から、次のことは分かっています。
- 点Pの座標
- 点Pは求める直線上にある
- 平行四辺形ABCDの各点の座標
点Pは求める直線上にあることがわかっているので、
あとは平行四辺形ABCDの各点の座標から、
求める直線が通るもう1点を求めればいいことがわかります。
④ 条件は何か
次に、条件を整理します。
この問題の条件は、
点Pを通る直線が、
平行四辺形の面積を2等分する
という点です。
ここが、この問題で
一番大切な条件です。
⑤ 条件から分かること
「平行四辺形の面積を2等分する直線」と聞いて、
すぐに分かる人は多くありません。
ですが、「平行四辺形の面積を2等分する線を描いてみよう」と言うと、結構かける生徒が多いです。


まずはこれです。
平行四辺形の対角線は、平行四辺形の面積を2等分にします。


他に、このような直線も描けます。
これらの共通点は何か、1つの図にまとめてみるとわかります。

ここまでやると、
平行四辺形の面積を2等分する直線は、対角線の交点を通る
ということがわかります。
すると、
次にやることがかなりはっきりします。
⑥ やるべきことが見えてくる
ここまで整理すると、
次のことが分かります。
- 求める直線は点Pを通る
- さらに平行四辺形の対角線の交点を通る
つまり、
点Pと、
対角線の交点を通る一次関数の式を求めればよい

という方針が立ちます。
平行四辺形の対角線は、
中点で交わる ので、
- 対角線ACの中点を求める
- その点と点Pを使って、一次関数の式を求める
という流れになります。
この問題で難しいのはどこか
この問題の中で、
- 一次関数の求め方
- 中点の求め方
は、教科書レベルの内容です。
少し考えにくいのは、
「平行四辺形の面積を2等分する直線は、
対角線の交点を通る」
という点です。
これは少し発展的ですが、
図を描いて何本か線を引いてみると、
気づくこともあります。
入試対策用の問題集では、
よく紹介されている考え方です。
もしここだけが分からなかったのなら、
それほど心配する必要はありません。
伝えたいことはこれだけ
この問題で大切なのは、
難しい計算をすることではありません。
- 何を求めるのか
- 何が分かっているのか
- どんな条件があるのか
これを整理することで、
次に何をすればいいかが見えてくる
ということです。
これが、
「考えている状態」です。
次に必要になる力
応用問題では、
複数の基礎知識を
順番に、1つずつ使っていく必要があります。
その順番が合っているかを確かめる方法や、
考える負担を軽くする工夫については、
次の記事で説明します。
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